「キャンプブーム終了」を嘆いているのは誰か?

この記事は約9分で読めます。

どうも、キャップです。

「キャンプブーム」という言葉について、思うところがあるので記事にしてみます。

 

 

 

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2022年はキャンプ人口が減少

オートキャンプ白書2023

出典:繊研新聞

 

2023年7月13日、「オートキャンプ白書2023」が発表されました。

「オートキャンプ白書2023」発売のお知らせ – 一般社団法人 日本オートキャンプ協会

 

2022年のオートキャンプ参加人口は前年から100万人減、前年比13.3%減の650万人だったそうです。

コロナ禍の2020年を例外とするなら、過去10年で初めてキャンプ人口が前年割れしました。

 

ちなみに2021年は前年から140万人増、前年比23%増の750万人でした。

キャンプ人口はコロナ禍の影響で乱高下していますね。

 

 

「3密を避けて楽しめる数少ないアクティビティ」としてキャンプが注目された時、キャンプには状況的優位性がありました。

アニメやYoutuberの影響もあり、メディアでキャンプが取り上げられる頻度も増えました。

ソロキャンプやグランピングなどキャンプスタイルの幅も広がりました。

 

 

しかし、コロナが5類に移行され、行動の選択肢が増え、キャンプの状況的優位性は薄まりました。

抑制されていた観光旅行への回帰が起こるのも当然ですし、「2022年にキャンプ人口が減った」と言うより「2021年のキャンプ人口激増が異常だった」と考えるのが自然だと思います。

 

 

 

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そもそも「キャンプブーム」とは何なのか?

淀川河川公園 大山崎地区

そもそも「キャンプブーム」とは何なのか?

いったい誰がそれを気にかけているのか?

「キャンプブーム」という言葉を聞くたび、疑問に思っていました。

 

誰かが丁寧に解説しれくれる訳でもありませんし、僕なりに考察してみることにします。

まず、「キャンプブーム」という言葉が指す意味について。

 

 

  1. キャンプ人口の増加
  2. キャンプ場利用者数の増加
  3. キャンプ関連製品・サービス売上額の増加

「キャンプブーム」が指す意味として、候補は以上3つくらいでしょうか。

 

この3つの中で、一般的に「キャンプブーム」という言葉から連想するのは、たぶん1番の「キャンプ人口の増加」じゃないかと思います。

キャンプ人口はどんな推移をたどっているのでしょうか。

 

 

オートキャンプ参加人口2012~2021出典:日本オートキャンプ協会
※オートキャンプ参加人口=1年間に1回以上キャンプをした人の数

 

上のグラフは「オートキャンプ白書2022」で報告されたものです。

このグラフを見るとキャンプ人口は2013年以降、毎年増えてきたようです。

すごく良い感じだったんですね。

でも2010年代に「キャンプブーム」という言葉を聞くことは殆ど無かった気がします。

この頃の状況は「ブーム(激増)」ではなく「堅調な増加」と考える人が多かったのかも知れません。

 

 

堅調に増加していたキャンプ人口ですが2020年は610万人まで激減します。コロナ禍の影響です。

その翌年、2021年は750万人まで急回復します。そして2022年は650万人に減少。

 

推移を見ると、過去10年で最もキャンプ人口が多かったのは2019年の860万人です。

もし「キャンプブーム」という言葉が「キャンプ人口の増加」のことだとすると、残念ながらキャンプブームは2019年に終了しています。

 

 

キャンプブームの裏側は? コールマン ジャパン社長に聞く
コロナ禍での需要を追い風に、キャンプをはじめ、アウトドアでの遊びが人気を高めてきている。キャンプ用品の代名詞とも言えるメーカー、コールマンの日本法人代表の中里豊氏はこの変化をどう感じ取っているのか。また市場にどのように向き合っているのか。前...

2021年に日経クロストレンドの取材に答えたコールマンジャパン社長は

  • コロナ禍以降は確かにブームと言える状況にある
  • しかしそれ以前から徐々にすそ野は広がってきていた
  • 特に2011年の東日本大震災の後、アウトドアマーケットが動き始めた
  • 2014年~2015年頃からは更に手応えを感じるようになってきた

とコメントしています。

 

ちなみに「第一次キャンプブーム」は1990年代前半でした。ピークを迎えた1996年のオートキャンプ人口は1,580万人に達したと言われています。
しかしその翌年からキャンプ人口・市場とも急速に縮小。2000年頃まで冬の時代が続いたようです。
これに対して2013年頃からの堅調なキャンプ人口の増加を「第二次キャンプブーム」と捉えている人も居るようです。

 

 

 

「キャンプブーム終了」を嘆いているのは誰か?

オートキャンプ白書2023

出典:繊研新聞

最初のグラフを再掲します。

折れ線グラフが「キャンプ人口」、棒グラフが「キャンプ用品市場」です。

実は2022年、キャンプ用品市場が14年ぶりに減少に転じたそうです。

 

 

キャンプ人口が激減した2020年に「キャンプブーム終了!」と嘆いている人は殆どいなかったように思います。

2020年もキャンプ用品市場は伸びていました。

 

2022年後半あたりから「キャンプブーム終了!」と言う人がでてきた気がします。

2022年はキャンプ用品市場が減少に転じました。

キャンプ人口は2020年より40万人も多いんですけどね(2020年:610万人、2022年:650万人)。

 

 

結局のところ「キャンプブーム」とは「キャンプ人口の増加」ではなく「キャンプ用品市場の拡大」を指す場合が多いみたいです。

キャンプ関連でお金を稼いでいる人からすれば、市場動向が気になるのはわかります。

でも、それってキャンパー側の話題ではなく、業界側の話題ですよね。

 

いま声高に「キャンプブーム終了!」と嘆いているのは「キャンプ関連で直接・間接に利益を得ている人」です。

中でも特に2020年以降に新規参入した人達じゃないでしょうか。

彼らが2020年以降の特殊事情※に依存していたとすると「急激に減ってる」と感じるでしょうし、焦るだろうと思います。

※2020年~2022年はキャンプ人口が2019年を下回っているのに、流通額は2019年を上回っています。理由は色々あるとは思いますが、ひとりあたり消費額が高騰しており、いわばバブル期だったのではと思います。
加えて、市場流通額にカウントされ辛いリユース市場が拡大したことも影響していそうです。転売の横行が目立つくらい二次流通に消費が流れ、新品のキャンプ用品を買う人が減った、という側面はあるかも知れません。

 

 

いずれにしても、キャンプ用品市場が縮小したことを「キャンプブーム終了!」と嘆かれたところで、それは単なる業界のボヤキです。

純粋にキャンプを楽しんでいるキャンパーは、まったく悲観する必要ないと思います。

 

「キャンプに行くのが楽しみ!」

「キャンプすると楽しい!」

というキャンプそのものの価値は不変です。

 

 

 

「コロナ以前の状態」に戻っていく

キャンプに行けば大丈夫

でもキャンプ人口がピークを過ぎて減っているのは事実です。

キャンプという文化が衰退してしまうのは悲しい。

 

「第一次キャンプブーム」が急速に冷え込んだように、このままキャンプ人口は減っていくのでしょうか?

 

僕なりに考察してみます。

 

 

RVカーブームが後押しした「第一次キャンプブーム」の要因は

  • RVカーを所有したい
  • 所有したRVカーを活用したい
  • 週休2日制が一般的になり、休日の過ごし方が変わった

などと思われ、「RVカーありき」のブームだった気がします。

キャンプはどちらかと言うとオマケ行為に近く、「キャンプという行為への肯定感」は薄かったのではと思います。

 

 

対して2013年以降のキャンプ人口の「堅調な増加」の要因には

  • ロックフェス・キャンプフェスの普及
  • 仕事との距離感や家族との時間の見直し
  • 天災や疫病を経た自然回帰マインド

などがあり、「キャンプという行為への肯定感」を伴うものだったように思います。

日本人口もマイカー所有率も減っていく中でキャンプ人口が増加しており、第一次キャンプブームとは背景もユーザー心理も異なると思われます。

このあたりの考察は僕の希望的観測を多分に含みます!

 

 

2021年からのブームが一過性だったとしても、2021年以降に新しいスタイルで参入したユーザー全員が居なくなるとは思えません。

 

キャンプを続けることを選んだ人が、古参(メディアに触発されずともキャンプしていた人)に加わるとしたら、

  • キャンプ人口は2019年レベル(860万人)プラスアルファ
  • 増加ペースも2019年頃まで(毎年10万人増)プラスアルファ

くらいに戻っていくのではないか、と考えています。

 

 

結びにこんなタイトルの本を紹介するのもどうかと思いますが、「キャンプという行為への肯定感」が生まれたからこそ発刊された本なのではと思います。

読んでみると「確かにキャンプって色んな効用がある気がするな」と感じます。

 

 

 

以上、「キャンプブーム終了」なんていう言葉は気にせず、気の向くままにキャンプすれば良いんだよ、という話でした!

 

 

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コメント

  1. うわし より:

    初めまして。なんとなくこの記事に流れてきて、台風通過に伴ってやることもなくなんとなく読んでおりました。

    が、非常に面白い考察でしたので、思わずコメントしてしまいました。

    私は2013年頃にキャンプに出会い、2016年頃から本格的にキャンプを始めて家族で楽しんでいたものの、コロナ禍において予約の困難性と料金設定が上がりすぎたことが原因で車中泊に切り替えて様子を見ておりました。

    コロナ禍におけるアウトドアブームが始まった時、恐らくコロナ5類以降以後は所謂「映え」に重きをおいて作られた高価格帯の製品が大量に中古市場に流通し、新しくキャンプを始めた人たちの大半は消失すると考えておりました。
    伴って、近年相次いでオープンしたバカ高い価格設定のキャンプ場も経営が苦しくなるだろうとも。

    そもそも、手間がかかるわりにわかりやすく得るものがない趣味です。
    誰もかれもが、あれだけの費用や時間、体力をかけてまで焚き火や星に価値を見出せるとは思えません。普通に行けるなら、テーマパークや旅行、観光に行く人が普通だと思います。笑

    しかしながら、市場の伸びに比してキャンプ人口が減っているとは驚きでした。市場の過剰な過熱感はあれど、キャンプ人口も確実に増えていると思っておりました。
    この推移を見ると、メディアに煽られて参入した新規参入者に嫌気がさし、キャンプから離れた私のような人ってもしかしたら多くいるかな、と思います。

    もう少し過熱感が落ち着いて、以前のように気軽に予約ができて、安く楽しめるようになればまた久しぶりにキャンプ場へ行こうと思います。

    とりとめもないコメント、失礼致しました。

    • キャップ キャップ より:

      うわしさん、コメントありがとうございます。
      2013年からキャンプされてるとのことで先輩ですね!

      コロナ禍の加熱状態に嫌気がさして遠のいた古参キャンパーは間違いなく居ただろうと思います。
      僕はあまり気にせず楽しんでいましたが、そうなってしまう方の気持ちもすごくわかります。
      キャンプ道具もキャンプ場も選択肢が増えたのは悪いことでは無いと思うのですが、このバブル期を経てどんな水準に落ち着くか、ですね。

      コロナ後、登山・釣りなどアウトドア界隈全般で混雑やマナーの問題が色々あると聞いてます(あちらの世界の人口と市場の推移は存じ上げませんが)。

      アウトドア系の趣味はスポーツよりもパーソナルな側面が強いので、良くも悪くも色々とSNSの影響を受けやすい、というのも理由かな、と。
      僕はブログやってるくせにSNSはあまりやらないので、影響を実感することは少ないのですが。。

      一方で、オートキャンプ白書2023によると、ひとりあたりのキャンプ回数や宿泊数(≒キャンプ場稼働率)は引き続き伸びているそうですので、即座に経営難に陥るキャンプ場もそこまで多くないかも知れませんね。

      予約争奪戦に疲れた古参の方が戻ってきてくれると良いな、と思いますし、うわしさんがキャンプ場でキャンプを満喫される日が再び訪れることを願っております。

      キャンプ場で見上げる空の青さも、深呼吸する空気のおいしさも、あの頃となんら変わっていないことだけは、僕が保証します(笑)

      また良かったらのぞきにいらしてください。コメントありがとうございました。